2020年夏期オリンピック招致

投稿者: imaeda

 オリンピックの世界に対する発信力と、ヒロシマの核廃絶・平和のメッセージが相乗効果を持った場合の影響力は、絶大な魅力である。2020年までの核兵器廃絶を目標としている平和市長会議による活動集大成のシグナル効果も、大いに期待できる。広島市の経済活動が活発化し、雇用を創出して、広島市の求心力と観光力、発信力を飛躍的に向上させ、これまでの次元を超えた新たな広島市が誕生する可能性もある。
 しかし、財政面での市の負担に対する市民の危惧は、根強いものがある。広島市は市の負担を52億円程度に抑えるとし、その根拠として、世界中から1000億円程度の寄付が集まると試算するが、その具体的手順と実現可能性は、必ずしも明らかになっていない。高度成長期の東京オリンピックや、莫大な政治献金が浸透しているアメリカでの大統領への献金額を引き合いにだしても、状況が違うのだからあまり説得力がない。原爆を投下したアメリカはもちろん、アジアの周辺国でさえも原爆投下が戦争を早期に終わらせたとの評価を常識にまでしている状況で、市が安易に期待するような寄付金が集まるかどうか。また、2016年オリンピック招致活動をしていた東京都は、国から損失補償をとりつけていたということだが、この情報も周知されていない。市民らが市の財政に不安を抱くという状況自体が大きな社会的損失である。財政面での負担や資金確保の目処を具体的に詰めていき、その目処が十分に具体化して信頼性を持つようなものであれば、市民の大多数の理解と同意を得られることを条件に、招致に向けて努力することは、すばらしいことだと思う。しかし、その目処が十分に立たず、市民に不安を残すようなものであれば、早期にきっぱり断念するほかない。
 また、2020年までに核兵器を廃絶するという広島市の運動と、2020年夏季オリンピック招致活動との相関関係が、十分に理解されていない。その年までに核を廃絶してそれを記念するのか、核廃絶に向けての盛り上がりのためにやるのか、明確に伝わっていない。核廃絶については可能ならばぜひなすべきであるというコンセンサスは得られようが、「ヒロシマ」と結びつける運動に諸外国が賛意を示すかどうか。市はより具体的に、ドリームだけでなくヴィジョンを明確にして、市民へ趣旨の周知を徹底する努力をなすべきである。周知が徹底して、市民のコンセンサスを得ることが、前進の必要条件である。