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April 2013 の投稿一覧です。

カテゴリー: 総合

投稿者: imaeda

 よく、「こんな事案だけど、相手から慰謝料をいくらとれるか教えて下さい」という相談があります。
 しかし、一概に「いくら取れるか」と訊かれても、どのような観点から答えるかによって、答えも変わってきます。

 たとえば、「殴られて、全治1ヶ月の怪我を負った」という事案。

 (裁判になれば通常)「慰謝料はいくらとされるか」で答えると、「交通事故の損害賠償額基準で言うと、入院しないで通院のみで全治1ヶ月だと、28万円が基準となっています。過失による交通事故よりも、故意に人を傷つける傷害の方が悪質だから、交通事故よりも損害が高額になる可能性があります。普通に考えれば、30万円~60万円くらいが妥当でしょうか。とは言っても、傷害の程度が同じ全治1ヶ月でも、傷害の部位や程度によります。女性の場合の顔面などは、損害を高額にする事情でしょう。逆に、傷害事件に至った経緯で、被害者側に落ち度がある場合は、過失相殺と言って、損害額を減額する事情として考慮されます。仮に損害額が50万円として、被害者側に3割の過失があると認められたら、3割の15万円減額されて、35万円が賠償してもらえる損害額ということになります。」といったアドバイスになります。

 なお、傷害が刑事事件になると話は少し変わってきます。
 刑事事件になると、加害者としては、少しでも刑事処分を軽くしたいという動機が加わりますから、状況によっては、少しくらい無理をしてでも示談したいという場合が生じます。そのような場合は、上記のような一般的な慰謝料よりも多くもらえることもあるでしょう。
 しかし、刑事手続の段階が進むと、事情が変わってくることもあります。捜査段階では、起訴(裁判)か不起訴(お咎めなし)か分かれるので、少々無理をしてでも示談したいという態度だった加害者が、例えば略式起訴で罰金刑を受けたり、不起訴で刑事手続が終わってしまうなどしたら、もう無理をして示談するモチベーションが無くなってしまい、「慰謝料取りたいなら裁判でもなんでもやればあ?」と開き直って、示談をしようとしなくなることが多々あります。

 これらの事情により、相手からもらえる慰謝料の額は決まってきます。
 しかし、これは、あくまでも裁判で判決になった場合を想定したもの。
 交渉では、双方が合意しなければ解決しませんし、逆に言えば、双方が合意すれば何でもあり、ということになります。
 裁判になった場合にいくらくらいになりそうか、というのは参考にはなりますし、交渉決裂になった場合のメリットやリスクを判断する材料にはなりますが、交渉段階では「いくらもらえるか」と断言することはできません。

 また、相手の支払意思や資力も問題になります。
 仮に慰謝料50万円をもらう権利があり、裁判でそのような判決を勝ち取っても、それだけで50万円が手元に入ってくるわけではありません。
 いや、むしろ、判決まで行くような事件であれば、判決が出ても相手が任意に支払おうとせず、相手の給料や不動産などに強制執行をかけてお金を無理やり取るしかない事件が多いと言えます。
 そして、相手にきちんとした勤め先や不動産があって、強制執行されたら困るような事案では、判決が出る前に、少しでも賠償額を少なくする和解をしようとするのが通常ですから、結局判決にまで至った事案は、判決の結果を実現することが困難な事件が多くなるのです。
 相手が、損害額を争うが、判決が出たら給料や不動産の差し押さえを受けたくないので任意に支払う、という人であれば、判決が出たらそれに応じた金額を支払ってくれるかもしれませんが、そういうケースは稀だと思います。
 つまり、(現実に)「慰謝料はいくら取れるか」という話になると、相手の態度や資力にもよるので、正確には「分かりません」という回答になるのです。

カテゴリー: 総合

投稿者: imaeda

 夫婦の一方が不貞行為(いわゆる不倫)をなした場合、他の配偶者は、不貞行為の相手方に慰謝料を請求できるというのは、常識となっています。
 この点、弁護士に法律相談すると、そのような場合の慰謝料の相場は、200~300万円前後と回答される場合が多いようです。
 しかし、その金額を算定するのは、難しい問題があります。

 不貞行為は違法行為ですが、そもそもそれ以前に婚姻関係が破たんしていたような場合は、不貞行為がなされても新たに婚姻関係が破壊されるということもないですから、慰謝料が発生しないこともあります。長期間別居が継続しているような場合は、慰謝料が発生しないと認められることも多々あります。あるいは、もう一方の配偶者による不貞行為、激しいDV等により、すでに婚姻関係が破たんしていたと認定された場合も、同様です。

 また、不貞行為の一番の加害者は、不貞をなした配偶者です。夫が不貞行為をなした場合、妻にとっての一番の加害者は、相手の女性ではなく、夫です。夫婦関係の信頼関係に基づく貞操義務を破った張本人だからです。

 ですから、たとえば夫に不貞行為をされた妻が、夫と離婚せず、慰謝料も請求しないで、相手の女性に対してのみ慰謝料を請求するような場合は、慰謝料を減額する事由とするのが裁判例の傾向です。

 実際のところは、相手の女性(男性)にだけ慰謝料を請求するケースが結構多いですから、そういうケースでは、不貞行為をした夫(妻)と離婚せず、慰謝料も請求していないことを理由に、相手の女性(男性)からとれる慰謝料は低めになるはずです。
 私の感覚では、夫婦の結婚年数、子供の数、収入、夫婦関係悪化の程度等によりますが、100~200万円くらいが相場で、200万円もいくケースはほとんどまれなのではないかと思います。
 夫(妻)に対する離婚・慰謝料請求も併せてやれば、150~250万円というところでしょうか。
 
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