2015年01月23日

病的窃盗(クレプトマニア)の治療

カテゴリー: 総合

投稿者: imaeda

今、窃盗罪で執行猶予中にまた窃盗罪を犯した方の弁護を、2件行っています。

執行猶予中に再犯を犯した場合は、当然のことながら、原則実刑になります。そして、新たに実刑になった刑期と、執行を猶予されていた刑期とを合せて受刑することになります。

これに対して、例外的に、再度の執行猶予というのもあります。
再度犯した罪について、特に斟酌べき情状があり、その罪について懲役または禁錮1年以下の刑を宣告するときは、例外的に再度の執行猶予をつけることが可能(可能というだけで、しないことの方が多い)ということです。

窃盗罪の累犯というのは、軽微な万引き行為が多いわけですが、懲役刑の執行猶予判決を受けたのにもかかわらず、執行猶予中に上記のリスクを冒してまた万引き行為をするというのは、合理的な行動ではないと言えます。
そこで、そのような人は、規範意識が鈍磨しているのではなく(仮にそういう面もあるとしても)、病的窃盗(クレプトマニア)であり、刑罰よりも治療がふさわしいのではないかという議論が生じます。

しかし、安易にそのような弁解を認めてしまうと、窃盗(万引き)を繰り返すような人は、およそ病的窃盗であり、処罰できないということになってしまい、それも不合理です。

そこで、病的窃盗(クレプトマニア)の専門病院の医師の診察を受けるのですが、現在この診察を受け付けているのは、横浜の大石クリニックと、群馬県の赤城高原ホスピタルとがあります。
前者は、通院可能な範囲に居住していないと、診察すら受け付けてもらえません。実質的に、東京都と神奈川県に居住している方に限られます。

後者は、院長による診察は予約制で、2か月先くらいまで予約が埋まっています。
他方、院長以外の若手の医師による診察は、予約なしでもすぐ受けることができます。
お勧めは、すぐに院長の診察の予約をとりつつ、別途院長以外の医師による診察もすぐに受け、できるだけ早く入院して治療を受ける手続を進めることです。
入院中は、レクレーションや家族カンファレンスなど、充実したメニューが組まれています。

しかし、検察官や裁判官の反応を見ると、1回診察を受けて「病的窃盗(クレプトマニア)」の診断書をもらったとしても、そもそも医師に嘘を述べたり演技したりして診断を得た可能性もあり、鵜呑みにしない傾向にあります。
しかし、複数回診察を受け、入院までして治療と診断を受け、それで病的窃盗(クレプトマニア)との診断を受けたのであれば、さすがに信憑性も高まってきます。
なお、同ホスピタルの医師によると、裁判所提出用の意見書を作成するには、2か月間くらいは入院してもらって、病状観察させてもらう必要があるとのことです。

病的窃盗(クレプトマニア)は、高齢者になるにしたがって増える傾向があるようです。
身体・精神の衰えや、認知症、疾患などが影響している場合も多いのかもしれません。
大事なのは、刑罰を逃れるために付け焼刃的に診断を受けるのではなく、刑罰を受ける受けないにかかわらずしっかりと治療する意思を固め、親族らがそれを手厚くサポートすることだと思います。

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