2015年09月18日

窃盗症(クレプトマニア) 広島に自助グループ設立

カテゴリー: 総合

投稿者: imaeda

 みなさん、こんにちは。(長文閲読注意)
 今枝仁法律事務所では、万引きを繰り返し、何度も逮捕され、それでも万引きをしてしまって捕まったという被疑者・被告人の弁護をたくさん手がけています。
 そのような人の多くは、窃盗症(クレプトマニア)であることから、なんとか身柄を釈放させて、専門病院である赤城高原クリニックを受診してもらい、窃盗症の治療を受け、医師の意見書をもらい、起訴猶予や再度の執行猶予を獲得する材料にします。

 本当は、早いうちに治療した方が良かったのですが、何度も逮捕され、罰金刑を何回か受け、正式裁判を起こされて執行猶予判決を受けるまでは、ほとんどの人が問題の深刻さに気付きません。
 万引き犯で初めての起訴であれば、執行猶予になるのは100%と言っても過言ではありません。だから、弁護人が最善の弁護を尽くさないのです。被害弁償して、謝罪の手紙を書かせ、家族を誰か1人情状証人で出廷させ、被告人質問をすれば、十分すぎるくらいに執行猶予獲得です。
 ・・・しかし、その被告人は、執行猶予期間中に万引きを犯し、次は実刑となり、執行を猶予されていた刑と合せて2倍の期間、刑務所に行くことになります。
 だからこそ、最初の執行猶予の判決が出たときの裁判の機会に、窃盗症の診断・治療を受け、執行猶予中も継続的に治療を受ける環境を調整しておくべきだったのです。

 執行猶予中の再犯でも、懲役1年以下で、情状に特に斟酌すべきものがあるときは、再度の執行猶予(通称「ダブル猶予」)を獲得できる可能性があります。
 ここに至って、多くの人がようやく、主には家族がですが、窃盗症の診断と治療を受けることを真剣に考え始めます。
 つまり、実刑のリスクが喉元まで来ないと、窃盗症には向き合わないのです。
 私は、執行猶予の条件として、窃盗症の診断を受けていること、執行猶予期間中窃盗症の専門医の治療を受けることを条件に保護観察に付することを可能にする立法があってもいいと思います。
 これは、薬物犯や、飲酒・危険運転の常習犯であるアルコール中毒者、病的性犯罪者などにも、あてはまると思います。
 刑事司法の目的は、政策的には一般予防を中心とした抑止効果と応報ですが、重要なのは、刑罰を決めるところまでではなく、再犯の防止とそれによる社会防衛にあると思います。
 起訴されたのが初めてでしかも万引きだからといって、セレモニー的に行われている数多くの刑事裁判をなんとかしないと、犯罪者の更生も望めないし、家族らの苦悩も深まるばかりだし、被害も減りません。

 最近は、刑務所から出所したわずか数か月でまた万引きをしたという被疑者の依頼が、相次いでいます。
 懲役刑の実刑を受けたときは、刑の執行を受け終わってから、つまり仮釈放になった日ではなく満期日となった日から、5年間以内に罪を起こして起訴されて懲役刑の刑を科すときは、法律上執行猶予がつけられません。100%実刑です。
 だからこそ、起訴猶予もしくは略式罰金を獲得しなければならない、高いハードルの弁護になります。
 起訴猶予、罰金、執行猶予、実刑と進んできて、刑務所にまで入ったのにまた万引きをして、起訴猶予や罰金に戻るということは通常考えられません。
 
 おそらく、この種の弁護を数多く手掛け、成果も挙げているのは、広島ではうちの事務所だけだと思います。
 今現在、刑務所から出所して数か月で万引きをした2名の方を担当していますが、2人とも被疑者段階で身柄釈放という、おそらくうちの事務所にしかできないマジック的な成果を上げており、窃盗症の専門病院赤城高原ホスピタルに受診しています。
 被疑者段階では、逮捕が2日間、勾留が最大20日間であり、3週間以内に決定打を打たないと、起訴されたら100%実刑です。厳密には正式裁判で罰金刑に落とすやり方もありますが、基本的には起訴されたら終わりです。
 そこで、勾留されないための方策、勾留されたときの準抗告、勾留延長に対する準抗告、勾留の執行停止申立てなどが重要になるわけです。これらの手段をフルに活用し、1つがダメでもつぎの手段に繋げ、釈放されるまであきらめません。その中で、被疑者が窃盗症の病気が原因で万引きを繰り返してしまっていること、今回刑務所に送ってもまた同じことを繰り返すだけであること、治療をしないと再犯防止にはなりえないことを訴えていきます。
 とにかく何でもいいから身柄釈放し、治療を開始するとともに、家族らの監督体制の整備をします。
 今日打ち合わせをした方は、15日(火曜日)の朝受任、昼に接見、午後検察官が勾留請求するも裁判官が却下、身柄釈放、同日2時間打合せ、本日2時間打合せで、万全の態勢づくりを固めました。
 
 ちなみに、広島にもようやく、窃盗症の患者とその家族らによる自助グループ(KA)ができました。
 月2回程度の開催で、次は9月30日(水曜日)午後1時30分~広島市西区地域福祉センター082-294-0104です。
 主催者は、うちの事務所で弁護した方で、執行猶予中の再犯ながら再度の執行猶予を得られた方の娘さんです。
 次回は私も見学に行こうと思いますので、窃盗症に心当たりのある方はどうぞご参加下さい。
 現在、控訴審弁護のため、執行猶予中の万引き犯で、一審で実刑になりながら控訴審で再度の執行猶予を得た事件の判決を分析しています。
 なんと!! それらの事件のすべてが、控訴審で赤城高原ホスピタルで入院か通院したことが評価されています。・・・それは赤城高原クリニックの院長に書いて頂いた意見書に添付されている判決だから当然ですが。
 それらの判決の中でも、赤城高原ホスピタルに通院しながら自助グループ(KA)に参加し続けていることを積極的に評価したものがいくつかあります。
 医師の治療を受け、その指示に従い生活しながら改善していく努力と、自らの問題に自分で向き合うために自助グループに参加する努力、それぞれが大切です。それらはすべて、検察官、裁判官に評価されます。
 天は自ら助くるものを助く。

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