2015年12月19日

マイナンバー講演会

カテゴリー: 総合

投稿者: imaeda

 12月12日土曜日に、真亀公民館で、マイナンバーに関する講演会を行いました。
 特定郵便局長さんらのグループから頼まれたのですが、私自身、マイナンバーについて詳しく知っている訳ではなく、2週間くらい猛勉強しました。

 これでマイナンバー・マスターになれたかもしれないので、ご要望があれば出張講義致します(*^_^*)
 それでは、そのときのレジュメを公開します。

マイナンバーに係わる諸問題        
平成27年12月12日 弁護士 今枝 仁
第1 沿革
 ・1968年 「国民総背番号制」佐藤栄作内閣 ×
 ・1980年 「グリーンカード」(少額貯蓄等利用者カード)少額非課税マル優 ×
 ・2003年 個人情報保護法施行,住基カード発行
 ・2005年 長者番付廃止⇒高額所得者の所得が上昇 国民金融資産1700兆円へ
 ・2007年 ●消えた年金記録問題5000件
⇒第1次安倍内閣倒れ,民主党政権交代に繋がる
 ・2012年 「マイナンバー関連3法案」野田内閣⇒第2次安倍内閣が乗っかる ◎
 ・2015年10月 ◆通知カード 簡易書留で送付
 ・2016年1月 ●個人番号カード発行開始,マイナンバー運用開始
 ・2017年 ◆情報提供等記録開示システム(マイナポータル)運用開始
 ・2018年 ●金融機関での新規口座へのマイナンバー登録(任意)
      ◆民間部門での活用拡大(住宅ローンの審査,保険商品の販売・審査等)
      ◆医療分野への利用拡大(病歴・検査結果の情報管理等) 
 ・2021年 ●金融機関口座とのひも付強制義務化?

第2 マイナンバー法の目的
 1 建前
   【公平・公正な社会の実現】,【国民の利便性の向上】,【行政の効率化】
   ≪分散管理≫ それぞれの行政機関,企業で個別に管理⇒情報交換
◆ 社会保障分野では,年金・雇用保険・医療保険の資格取得・受給・保険料の徴収,生活保護の申請・審査などで活用します。
   ◆ 税分野では,税務署に対する申告書への記載,支払調書,確定申告などで活用します(2016年分から)。
   ◆ 災害分野では,被災者台帳の作成,被災者生活再建支援金,預金や保険の個人確認等の申請手続などで活用します。
 2 本音
   ●富裕層,自営業,農家,脱税事業主に対する課税強化 ※クナヨイ,トウゴサンピン
   ●社会保障制度の安定化(年金の確実な払込,生活保護需給の適正化等)
   現状の不正・不公正・不公平の解消と,国の財源確保
   税務署・国税庁,日本年金機構の情報交換をスムーズ化
   保険業界,医療の現場からも強い要望あり⇒プライバシーの問題大

第3 マイナンバーについて事前に頂いた質問に対する回答                        
Q1   マイナンバーの交付で国民への具体的なメリット・デメリットを教えて下さい。
A1  メリットは,以下の3つです。
1つ目は,行政運営の効率化により,人や財源が国民サービスに振り向けられることです。
2つ目は,社会保障・税に関する行政の手続で添付書類が削減されることやマイナポータルを通じたお知らせサービスなどによる利便性の向上です。
3つ目は,所得がこれまでより正確に把握されることで,きめ細やかな社会保障制度が設計され,より公平・公正な社会が実現されることです。
デメリットは,以下の3つです。
1つ目は,国や自治体が特定の人物の情報を簡単に確認できるようになってしまうため,プライバシー侵害のおそれが生じることです。
2つ目は,マイナンバーの漏洩により,個人情報が流出してしまうおそれがあることです。
3つ目は,マイナンバーによる手続の簡素化により,なりすまし被害が多くなるおそれがあることです。
Q2  マイナンバーの受取拒否には罰則があるのでしょうか?
A2  受取拒否による罰則はありません。
Q3  マイナンバーを故意ではなく,他人に万が一知られて悪用され被害を被った場合,だれがどのように補償していくのですか?そうした場合,国の対策はどのようになっているのでしょうか?
A3  現在のところ,公的な被害補償制度は存在しません。
もちろん,被害者から加害者に対し民事の損害賠償請求が可能ですが,手続には時間的費用的な負担があります。
国の対策としては,漏えいがないように,特定個人情報保護委員会による監視,漏えいや悪用に対する刑罰による抑止等で未然に防ぐしかありません。
Q4  マイナンバー漏えい事故を起こした業者にはどのような刑事罰が科せられるのでしょうか?また損害賠償額はどのくらいが請求できるのでしょうか?
A4  個人番号利用事務等に従事する業者が,正当な理由がないのに,その業務に関して取り扱った個人の秘密に属する事項が記録された特定個人情報ファイルを提供したときは,4年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金,又はその両方が科せられます(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(以下,「マイナンバー法」という。)48条)。
    同じく個人番号利用事務等に従事する業者が,業務に関して知り得た個人番号を自己若しくは第三者の不正な利益を図る目的で提供し,又は盗用したときは,3年以下の懲役若しくは150万円以下の罰金,又はその両方が科せられます(同49条)。
    情報提供等事務又は情報提供ネットワークシステムの運営に関する事務に従事する業者が,その業務に関して知り得た当該事務に関する秘密を漏らし,又は盗用した場合は,3年以下の懲役若しくは150万円以下の罰金,又はその両方が科せられます(同50条)。
    また,個人情報の漏えいについての過去の裁判例によれば,マイナンバー漏えい事故における損害賠償額は,1人あたり数千円から数万円となると想定されます。
Q5  役所以外の所にマイナンバーを伝えるのはとても不安です。マイナンバー情報はどのように保護されるのでしょうか?
A5  本人確認措置(マイナンバー法16条),マイナンバー法の規定によらないマイナンバー情報の収集・保管の禁止(同20条),マイナンバー法の規定によらないマイナンバーをその内容に含む個人情報ファイルの作成の禁止(同29条,2条9項),個人情報保護委員会によるマイナンバーをその内容に含む個人情報の取扱いに関する監督(同33条ないし35条,19条12号括弧書き,2条8項),罰則(同48条ないし57条)などの規定によって,マイナンバー情報は保護されます。
Q6  もしマイナンバーが漏えいしたら,なりすまし被害もおこるのでは?それに対しての対策はあるのでしょうか?
A6  なりすまし被害に対する対策としては以下のものがあります。
まず,マイナンバー利用事務等実施者は,マイナンバーの提供を受けるときに,当該提供をする者が本人であることを確認するための措置をとらなければなりません(マイナンバー法16条)。顔写真入りの個人番号カードか,番号カード又は番号入りの住民票,及び運転免許証やパスポート等の顔写真入り身分証明証の確認が必要です。
また,個人情報保護委員会によるマイナンバーをその内容に含む個人情報の取扱いに関する監督,罰則などの対策も存在します。
Q7  万が一にマイナンバー自体が流出した場合,どの情報までが漏れるのでしょうか?
 A7 マイナンバー自体は,ただの番号なので,問題はありません。しかし,その時点で紐付されている情報が,漏えいする危険があります。
 今すぐではないですが,将来多くの個人情報が紐付されて利用されるようになった場合,例えば年収とか不動産などの財産内訳,医療の受診情報は,漏えい等をした加害者に対して刑事罰を科して抑止するというものしかありません。
   情報の管理に当たっては,これまで各機関で管理していた個人情報は引き続きその機関が管理し,必要な情報を必要な時だけやりとりする分散管理という仕組みが採用されています。また,各機関の間の情報のやりとりは,マイナンバーではなく,システム内でのみ突合可能な役所ごとに異なるコード(暗号化された符号)で行われますので,1つの機関で漏えいがあっても他の機関との間では遮断されます。
    したがって,例えば税務署においてマイナンバーに基づく情報の漏えいがあった場合,税務署で管理されうる財産情報等は漏れることが考えられます。
    なお,前科前例などの情報は,警察署や検察庁において管理されていますが,今の所マイナンバーにリンクされる予定はなく,これを開示することが違法となるという判例もあるので,今後もされないでしょう。アメリカなどでは,重大犯罪や性犯罪を犯した者の住所等を検索するシステムがあります。
Q8  個人番号カードのICチップから医療(病歴,投薬等)情報まで筒抜けになるのでしょうか?
A8  個人番号カードのICチップには,氏名,住所,性別,生年月日,電話番号,パスポート番号,運転免許証番号等,個人を特定する基礎情報のみ登録される見込みです。これは,条例によって地方自治体ごとに追加できます。
医療(病歴,投薬等)情報のようなプライバシー性の高い情報は記録されませんので,それらの情報はカードのICチップからは判明しません。
    但し,将来的に,個人番号カードと医療情報がリンクされたときには,ICチップからというよりは,個人番号から医療情報が検索できるようになる可能性もあります。
    これには,人権団体等から強い抵抗があります。
Q9  税の情報や社会保障の情報を同じ番号で管理すると,マイナンバーが漏えいしたときに,それらの情報も芋づる式に漏えいしてしまうのではないでしょうか?
A9  分散管理,各機関の間の情報の遮断によって,仮に1つの機関でマイナンバーが漏えいしたとしても,他の機関で管理されている個人情報を芋づる式に 抜き出すことはできない仕組みとなっています。
    したがって,それぞれ別の機関で管理されている税の情報と,社会保障の情報が,簡単に芋づる式に漏えいすることはありません。
Q10  マイナンバーの金融機関口座ひもつけは,最終的に強制となっていくのでしょうか?タンス預金が増えていくことにならないでしょうか?対策は?
A10  最終的には強制となっていくことが予想されます。マイナンバー法の最も強い目的の一つだからです。
    そして,財産の額を把握されないためにタンス預金が増えていくことも想定されますが,収入に関してもマイナンバーによって管理されているため,預金口座に入っている額と収入に差があったとしても,タンス預金の額はだいたい想像することが可能であり,タンス預金の効果は低いといえます。もっとも,収入を把握されていない者が,脱税の手段としてこれまで預金口座を使っていた場合に,使わなくなることは考えられます。
    コストやセキュリティの面を考慮しても,タンス預金をすることのメリットはあまりないものといえるでしょう。
 対策としては,利率や管理等で魅力ある預金商品を提供することでしょう。
Q11  貯金や保険の手続きでマイナンバーを通知していただく必要がある際,お客様が拒否された場合手続きができなくなるようですが,そもそもお客様に通知していただくことの法的根拠があるのでしょうか?
A11  マイナンバー法14条が法的根拠となります。
「個人番号利用事務等実施者は,個人番号利用事務等を処理するために必要があるときは,本人又は他の個人番号利用事務等実施者に対し個人番号の提供を求めることができる。」
 マイナンバーの通知を拒んだ結果,手続ができなかったとしても,それは利用者の自己責任であり,対応事業者の責任ではないと言えます。
Q12  送金や振込などでマイナンバーが付帯された取引は,全てチェックされるのですか?
A12  マイナンバーは利用範囲が限定されていますから(マイナンバー法9条),マイナンバーが付帯された取引が全てチェックされるということはありません。
    もっとも,将来的に金融機関口座ひも付けがなされていったような場合,チェックされる範囲は拡大していくと考えます。
Q13  「年金保険受取年間20万円以下の人」「保険金を受け取ったが控除後マイナスの人」は,支払い調書が来ても今までは確定申告されない人がおおかったですが,これからは確定申告されるほうが良いと案内したほうがよいのですか?
A13  確定申告の義務の有無について変化はないので,これからも確定申告はされなくて大丈夫です。
Q14  「年間110万円未満」で子供や孫の名前で親や祖父母が貯金したり,保険料を支払うケースで何か気をつけることはありますか?
A14  年間110万円未満の贈与の場合には贈与税はかかりませんが,マイナンバーの金融機関口座ひもつけにより,贈与ではなく借名預金と判断される等,預金に税金がかけられるようになることも考えられなくはないため,そのようなことに注意すべきでしょう。
Q15  最近,「連年贈与」についてお客様から相談を受けることが多いのでやり方について,課税されないようにするための注意点を教えていただきたいです。
A15  振込みに限らず,贈与をするときには,その日付と金額を変えたり使い道をあらかじめ決めて贈与契約を結び,その内容を明記しておくなど対策をしておくといいでしょう。
Q16  今後新たに非課税貯金されるお客様はマイナンバーの届け出を金融機関にしないと全く非課税で預けることができないのですか?
A16   マイナンバーは住民票を有する者に対して指定されるものですので,非課税申告書などの記載対象となっている者全てがマイナンバーを持っているとは限らず,そのような場合はマイナンバーを記載することはできませんので,マイナンバーの届け出がなくても非課税での預金が可能になります。
Q17  過去に副業されていた方(現在はしていない)もマイナンバーが始まることによって追徴課税等されることがありますか?
A17   有りません。マイナンバー制度導入に伴い,地方税関係手続に変更が生じる者ではなく,マイナンバー制度の導入により副業を行っていた事実が新たに判明するものではないからです。
    但し,マイナンバーが金融機関口座にひも付された結果,口座を調べて新たに所得が発覚するような場合は,税務調査が入るかもしれません。
Q18  通知カードや個人番号カードの記載内容に変更があったときはどうすればよいのですか?
A18  通知カード又は個人番号カードの記載内容に変更があったときは,14日以内に市町村に届け出て,カードの記載内容を変更してもらわなければなりません(マイナンバー法7条5項,17条4項)。
Q19  マイナンバーは任意で変更が可能でしょうか?
A19   マイナンバーは原則として生涯同じ番号を使い続けることとなり,自由に変更することはできません。ただし,マイナンバーが漏えいして不正に用いられるおそれがあると認められる場合に限り,本人の請求又は市町村長の職権により変更することができます(マイナンバー法7条1項,2項)。
Q20  マイナンバー提示すれば,税金などが優遇されるケースがあるのでしょうか?(例 ETCカードのように)病院や税務署,災害時の手間が簡単になると聞きましたが具体的にどのようになるのでしょうか?
A20  現在のところ,マイナンバー提示により税金が優遇されることはありません。
    マイナンバーの導入により,平成29年1月から国の行政機関など,平成29年7月から地方公共団体で情報連携が始まり,社会保障や税,災害対策の手続で住民票の写しなどの添付が不要になります。  
Q21  運転免許証,健康保険証にGPS機能付きICチップがマイナンバーと共に組み込まれるのですか?
A21   Q8で述べたように,ICチップに登録されるのは,住所や氏名,生年月日,性別等であり,現在のところ,GPS機能の搭載等の予定はありませんが,将来的に国民のニーズが高まれば,あり得ないことではありません。
   運転免許証,健康保険証と個人番号カードが統合されていくことは,十分に考えられます。

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